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環境衛生コンサルティング部門
また、近年特定が外来生物である「セアカゴケグモ」「ハイイロゴケグモ」といった強い毒性のある毒グモが海外から侵入して、国内で急速に分布を拡大しています。
全国でも、死には至らずとも重篤になった症例が複数例ありますので、今後の動向に注視が必要です。
一般的なクモ類の防除方法
■施工概要
殺虫及び忌避効果のある薬剤を、クモが営巣する通路灯や窓枠周辺等に特殊な噴霧装置を使用して、噴霧処理を実施します。(無色透明であるため、窓に汚れ等も残りませんので、ご安心下さい。)
■作業内容: ①薬剤塗布実施 ⇒ ②クモ死骸や巣、卵のうの除去
①薬剤塗布(噴霧)
②クモ死骸や巣、卵のうの除去
不快な巣、死骸や卵は、可能な限り除去致します。
【留意事項】
建築物が自然環境に囲まれていて周辺から侵入する個体が多い場合や既に建築物内でクモ類がある程度繁殖している場合は、クモ類の繁殖を抑止するために、年に数回、施工を実施しなければならない場合が御座います。
セアカゴケグモ防除処理
1、生態について
扱い | 外来生物法で特定外来生物に指定された | |
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分類 | 分類上の位置 | 節足動物門 クモ綱 クモ目(真正クモ目) ヒメグモ科 |
和名 | セアカゴケグモ Latrodectus hasselti (近似種ハイイロゴケグモ) | |
形態 |
メス:体長1cm前後、全体が黒色、腹部の背面に目立った赤色の縦条がある。 オス:体長5mm前後、腹部背面は灰白色で中央に縁取りのある白い斑紋がある。その両側に黒紋が2列に並ぶ.成熟した雄は,腹部が細く頭部の触肢が丸く膨らんでいて区別できる。 卵嚢は直径1~1.5cmで乳白色である。外来種のハイイロゴケグモ、八重山諸島に生息する未記載種ヤエヤマゴケグモと同じゴケグモ属に属する。 |
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生態 |
成熟したメスは、25から30日ごとに卵を産む。1卵塊あたりの卵数は数10~200個。卵は、産みつけられてから、2週間前後で孵化する。 メス:平均で約4ヶ月で成熟する。2~3年生きる。 オス:平均で約90日で成熟する。オスは6から7ヶ月である。 食物無しでクモは、平均して約100日生存し、一番早く死んだのは36日、もっとも長く生きたのは7ヶ月であった。 |
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食性 |
クモは、肉食性のため、主に昆虫等の他の生物を捕食します。そのため、捕食するのに効率が良い空間に営巣をします。本種の場合は、徘徊昆虫を捕食するので、排水溝等地面から近い位置で営巣をします。 主な捕食種:アリ、ゴミムシ、ゴミムシダマシ、ワラジムシ、ハサミムシ、コガネムシ、カメムシなど |
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毒性 | 人に対して毒性を示すのは、α-ラトロトキシンという蛋白である。この毒素は神経毒で、ほ乳類に対し活性を示す、α-ラトロトキシンは神経系全般にわたって働き、神経末端よりアセチルコリン、カテコールアミン等の神経伝達物質の放出を促し、再流入を阻止することにより神経末端の神経伝達物質を枯渇させる。従って、人がセアカゴケグモに咬まれると、運動神経系、自律神経系が阻害され、種々の症状が現れる。 | |
症状 |
<咬まれた直後> セアカゴケグモに咬まれると、咬まれた直後は局所の痛みはほとんどなく、あっても咬まれた部位に軽い痛みを感じるだけである。刺し口が一つ、あるいは2つ見つかる場合もある。また、咬まれた部位の周辺に発疹を見ることもある。 <5から60分後> 局所症状が現れ、しだいに痛みが増強する。 <30分から数時間> 時間とともに痛みが咬まれた四肢全体に広がり、最終的には所属リンパ節におよぶ。局所の発汗も起こり、しばしば熱感、掻痒感も伴う。しかし、局所症状のもっとも大きな特徴は痛みである。 |
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全身症状 |
セアカゴケグモに咬まれて全身症状を示すものはごく一部である。咬まれてから約1時間で全身症状を示すこともあるが、一般には徐々に進行し、12時間以上かかることが多い。 重症になるのは小児、高齢者、虚弱体質の者である。主要な全身症状は痛みである。痛みは全身に及ぶこともあり、咬まれた部位の近くの躯幹だけに限局することもある。したがって、上肢を咬まれた場合、強い痛みは顔、首、胸部に生じ、胸部痛がしばしば心臓発作による痛みと間違われることがある。一方、下肢をかまれると、強い痛みは腹部に生じ、急性腹症とよく似た症状を示す。躯幹のどの部位を咬まれても腹痛は起こり得る。筋肉のけいれんが主として腹部に認められることがある。著しい発汗が全身に、あるいは咬まれた場所とまったく違った部位に限局して認められることがある。全身の筋肉の弛緩が起こるが、麻痺にまで至ることは希である。 他の主要な症状としては、嘔気、嘔吐、発熱、不眠症、めまい、頭痛、全身の発疹、高血圧、下痢、喀血、呼吸困難、排尿困難、重度の開口障害、食欲不振、眼瞼浮腫、全身の関節痛、全身の震え、不安感、羞明、流涙、精神異常、徐脈や頻脈、括約筋のけいれんに続いて起こる尿閉などである。 乳幼児が咬まれると痛みのため泣き叫び、間欠的にけいれんし、症状の進行は早く、重症になりやすい。腹部の痛みと硬直はしばしば認められる。熱がないのに強い痛みが突然起こり、局所の発疹や著しい頻脈が乳幼児に認められれば、セアカゴケグモに咬まれたことを疑わなければならない。 |
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処置 |
咬まれた局所を包帯等で強く圧迫するのは、痛みを増強させるので勧められない。局所をアイスパックで冷やすのは、痛みをいくらか緩和するかもしれない。 それぞれの症状に応じて対処療法を行っても、効果のないことが多い。痛みに対して鎮痛薬の服用はもちろん、モルヒネやペチジンの注射でも効果が認められない場合がしばしばある。すべての症状に対してもっとも有効なのは、抗毒素による治療である。 |
2、営巣場所
①雨や風が直接的に当らない箇所
②昆虫が捕食できる箇所(コバエ等)
③温度が安定した箇所(15℃~30℃)=人の生活環境に近い
上記の①~③が、セアカゴケグモの営巣場所となる。
3、対策について
セアカゴケグモの営巣箇所の特徴として、人の膝から下の位置につくるのが圧倒的に多い。特に、排水溝は有機物が豊富で、餌となる昆虫の量が多い、また、人目につきにくいので、駆除されずに、繁殖能力をもつまで発育が出来るので、格好の繁殖場所となる。その他、年に数回しか移動させない物や複雑な構造の設備したなどに営巣をする。
対策としては、その様な箇所に、生息密度が少ない場合には、年に1回、生息密度が多い場合は、年に2回、殺虫剤を散布し、敷地内で繁殖しない様に定期的に個体数を減数させるのが望ましい。
殺虫剤は、人体毒性や環境負荷、クモに対する選択毒性を考慮し、ピレスロイド系の殺虫剤を用いた方が良い。特に、シフェノトリンやフェノトリンは、効能が顕著である。
また、殺虫剤だけでは、完全な殺卵は困難なので、成虫を駆除した後、物理的に除去するか、ガスバーナーで焼却した方が合理的である。
管理方法
①繁殖期の6月~10月に、月に1回ほど生息調査を実施する。
②セアカゴケグモの営巣や虫体を確認したら、エアゾル剤や液剤で駆除を実施する。卵は、物理的に除去するか、ガスバーナーで焼却する。
- 虫体・卵の確認
- その都度、駆除を実施
4、セアカゴケグモの最近動向
- 2012年までの被害状況
- 2011年~2013年までの被害内容詳細(※報告があった事例のみ)