SERVICE

環境衛生コンサルティング部門

カ類について

カ類は、ご存じの通り口器を対象となる動物の皮膚に刺し、その動物の血液を栄養源にする生物です。その際、微量に皮下に異物が注入されるためアナフィラキシーで、刺された周囲が痒くなります。血液を吸う行為は、メスが産卵のために、血中の養分を必要とするために起こります。

従って、オスは産卵しないため、血液を吸いません。産卵以外の栄養源の摂取は、花の蜜を吸って生活をしています。

島国の日本人にとって蚊は、「刺されると痒い」というだけの動物ですが、大陸に住む海外の方にとっては、刺されると最悪の場合、死に至る生物という認識の違いがあります。例えば、マレーシア等東南アジアのデング熱発生地域では、蚊の発生を許容するような場合(自宅の環境整備不足、水たまりをつくり、蚊を発生させる要因をつくっている場合)は、罰金が科せられます。

これは日本人にとって過度だと思われがちですが、蚊は危険な感染症を媒介する生物だという認識が高いからだと言えます。

近年、蚊が媒介する感染症が世界各地で問題となっています。新興国へとグローバル化が加速するとともに、人・ものの移動が急速に拡大することで、それらに紛れ感染症もまた、検疫をすり抜け、感染症が拡散傾向にあります。

2015年、東京代々木公園でヒトスジシマカが媒介して騒動となったデング熱は、国内で69年ぶりに確認されました。これは、終戦後、内需に主動の高度成長を経てグローバル化が進んだ現代、途上国との濃厚に接触する機会が増加した上の現象ととらえるべきではないでしょうか?

人家の周囲で生息している蚊について

①アカイエカ類

生息場所 比較的安定した水域(堆積した有機物があり、水も一定期間、一定量ある 雨水枡 水田 等)
飛行距離 長距離型

媒介する

感染症

ウエストナイル熱(北米)
刺咬行動 吸血源となる動物を探し求めて積極的に飛び回る。吸血は夜間で、数キロから十数キロの範囲を盛んに飛び回り動物を探して吸血する。

②ヤブカ類

生息場所 卵を水際に産みつけ、乾燥条件下でも、耐える傾向がある。降雨などにより、卵が触れると孵化が起こり、雨季の夏場に多く発生が見られる。人工物(プランター、墓地、雨水枡、その他水たまり)
飛行距離 短距離型

媒介する

感染症

ウエストナイル熱(北米に拡散中)、デング熱(近年東京代々木公園)、ジガ熱(近年ブラジルオリンピック、小頭症)
刺咬行動

ヒトスジシマカは「待ち伏せ型」の吸血

雨水桝や人工容器などの小水域から発生し、葉裏や植物の茂みなどに潜伏する。その近くをヒトや動物(ネズミ、ネコ、カモ等)が通りかかると察知して刺しに来る。人では3-4m位近づくと察知し、その周り数mに潜伏していた個体もすべて吸血に来る。5-10分頃が最も多くなり、15分もすると来なくなる。人や動物が来ないと、別の場所に移動する。移動範囲は100-200m内。吸血は昼間で、早朝(6時)と夕方にやや多い。

※毎週高さ7.5mと1.5mに付けたドライアイストラップによる8年間の平均捕獲数で比較すると、ヒトスジシマカは1.5mの高さの所で96.2%、7.5mで3.8%は捕獲された。

ヒトスジシマカとアカイエカ種群のヒト嗜好性の比較(感染研データ)

ヒトスジシマカの季節消長

■ヒトスジシマカ成虫の密度は5-7月に急増し、8-10月に激減する。ピークに達する時期は、年により1か月ほどの違いがみある。

■増加期では成虫、幼虫対策が必要だが、減少期では成虫対策のみと考えるのが妥当。  Tsuda & Hayashi (2014)

蚊の幼虫の生息場所

ヒトスジシマカ想定

■ヒトスジシマカの幼虫の発生個所は、小水域で、住宅地では雨水枡、排水枡、植木鉢やプランターの水の受皿、庭先のバケツや壷、プラスチック容器、空の飲料缶、ビン、古タイヤ、ビニールシートに溜まった水などに発生する。

幼虫期間は春・秋では30-50日、真夏(27℃)で雄12日、雌12日。成虫寿命は20-40日。卵で越冬。数か月の乾燥に耐え、水につかると孵化する。1回に100-200個産卵。4-5回産卵

卵塊
幼虫

蚊の生活史(ライフサイクル)

建築物周囲の対策

ボウフラ(幼虫)対策

日常予防

  • プランター水は、10日以内ごとに交換する(羽化予防)
  • 家屋周辺の不用品は片づける(産卵防止)
  • 薄い枡の蓋の内側に防虫メッシュを張る(産卵防止)
  • 地面の草刈りを実施する(乾燥させる)
  • 植栽は、定期的に剪定する(風通しを良くする・湿度抑制)
  • 薄い枡清掃をする(幼虫の餌となる有機泥の除去)

化学的防除処理

どうしても、環境整備ができない場合は、ボウフラ用の駆除剤を投与する(浄化槽等)

成虫対策

成虫が多数目撃される場所に、ピレスロイド系の殺虫剤を噴霧する(除虫菊由来低毒性)


CONTACT

お気軽にお問い合わせください。
各分野専門のオペレーターにお繋ぎいたします。

CONTACT US

PAGE TOP